アメリカで誕生した音楽ジャンルの一つ「R&B」。誕生から多くの人に愛され磨かれ、多くのサブジャンルやスタイルが誕生いたしました。その中でも「R&B」の真髄でもある王道の「Soul Full R&B」について、私が代わりに厳選したアーティスト「Sisqo,Tyrese,Mario Winans」の３人をご紹介したいと思います。
「R&B」と言う音楽ジャンルは、リズミカルで安定したビートにジャズやソウルなどに使用される様なゆったりとしたメロディーを乗せ、トラックに合わせてソウルフルな歌い方で歌う音楽ジャンルです。ナイトシーンや、ゆったりしたいタイミングで聴くのにオススメなジャンルとも言えます。
「R&B」は誕生から現在まで多くのサブジャンルが確立し、数多くの「スタイル(曲の雰囲気)」が存在しています。ファンクの様な明るい曲調のR&Bや、ゴスペルの様なソウルフルなR&B、踊れる曲調のダンスホールR&Bなど、数や種類は千差万別です。
長きにわたり、数多くのアーティストとファンたちが「R&B」と言う音楽ジャンルに磨きをかけ、切磋琢磨して表現を続けた結果、現在の「R&B」が形成されたと言えます。
今回のテーマは「Soul Full R&B」。ゆったりしていて深い落ち着きのある雰囲気と、安定したリズムとブルースの融合を演出するベテランアーティスト3人「Joe, Marques Houston, Mario」のおすすめアルバム＆楽曲をそれぞれご紹介いたします。
初めてヒップホップを聴く方へのわかりやすい解説を目指していますが、専門用語を含む表現が所々あります。
聞きなれない表現もあるかと思いますので大まかな専門用語をまとめてみました。以下参考にしてみてください。
【メロディー/メロディーライン】
＝曲を聴いたときに単一の実体として聴こえる音の線形を指します。
【ビート/ベースライン】
＝「生ドラム」や「ドラムマシン」などを用いた重低音により、演奏するリズムまたはパターンを指します。
【トラック】
＝ビートとメロディーを合体させた音の総称を指します。
【リリック】
＝ラップ部分の歌詞を指します。
【ライム】
＝似たような響きをもつ言葉を同じリズムで発することを指します。
【フロウ】
＝声の高さや強弱・速度に変化をつけ、曲を印象付ける歌いまわしのことを指します。
【スラング】
＝ヒップホップ専門の造語や、仲間内にだけ通じる暗号のような言葉を指します。
【メロー】
＝ゆったり落ち着いたスローテンポな曲調で、繊細さを感じる曲調を指します。
【フリースタイル】
＝その場で即座に歌詞をつけてラップを行うスタイルを指します。
【G-FUNK(ジー・ファンク)】
＝ギャングスタ・ファンクの略。落ち着いた雰囲気のトラックにハードなラップを合わせたものを指します。
Sisqo
(シスコ)
男性ならではの美しくて少し擦れかかったイメージのハスキーボイスを武器に、アップテンポな楽曲から甘くてゆる〜いスウィートソングまで巧みに歌いこなすアーティスト「Sisqo(シスコ)」。アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア出身の彼は、アメリカを代表する生粋のR&Bシンガーです。
彼のR&Bシンガーとしてのキャリアがスタートしたのは1990年代、「Sisqo」が10代の頃にまで遡ります。出身地のボルチモアにある港町で働いていた時、同僚の「ラリー”ジャズ”アンソニー、ジェームズ”ウッディ”グリーン、タミール”ノキオ”ラフィン」の3人とR&Bグループ「Dru Hill」を立ち上げキャリアをスタートさせるところから始まります。
冒頭でも触れましたが、「Sisqo」のいちばんの魅力と言えば、男性ならではの美しくありながら芯があってぶれず、少しと言うか本当に若干ですが、声が擦れているところが彼の魅力の一つ。リリックやフロウも本場アメリカのR&Bアーティストならでは。セクシーさ全開です！
「Sisqo」自身がアメリカ最高峰のR&Bと自負しておりますが、2000年に活躍したアーティストの中では私も歴代１位ではないかと感じています。そんな「Sisqo」のおすすめ楽曲とおすすめアルバムをそれぞれご紹介いたします！
おすすめのアルバム
Unleash the Dragon
＜Sisqó＞
「Sisqo」のおすすめアルバムはこちら「Unleash the Dragon」。スローテンポな楽曲が中心となっていますが、アップテンポなバラードやスローバラードなど幅広く収録されており、小細工なしのトラックに頼らない「Sisqo」のパワフルな歌声が楽しめるアルバムです。おすすめですよ！
おすすめ楽曲①
Is Love Enough
＜Sisqó＞
スローテンポなピッチに軽快なビートを取り入れ、明るい印象すらもたらすシックなトラックに対して「Sisqo」のハスキー＆シルキーな歌声が見事にマッチした楽曲。特にコーラス部分は透明感があって聞き入り易く、「Sisqo」の魅力が十分に伝わってくるベストナンバーです。
おすすめ楽曲②
Got to Get It
＜Sisqó feat. Make It Hot＞
「Sisqo」のリリースした楽曲の中でも指折りのアップテンポなナンバー。やや早いピッチに軽快なリズム打ちが特徴で、トラックのメロディーラインにスピード感を印象付けることで、よりハイテンポに感じられる様な仕上がりです。ハイテンポでもスローでもきっちり歌い上げる「Sisqo」は申し分なし！
おすすめ楽曲③
Incomplete
＜Sisqó＞
「Sisqo」の楽曲の中で一番おすすめしたい楽曲はこちら「Incomplete」。ゆったりとしたピッチに優しい印象のメロディーラインと安定したビートにより、極上なスウィートトラックとなっています。さらに「Sisqo」の極上ライムが乗っかる事により、最高峰の楽曲へと仕上がっていますね！おすすめです！
おすすめ楽曲④
Home Wrecker
＜Sisqó＞
流れる様なメロディーラインと変則的なリズム打ちが際立つトラックに、「Sisqo」がトリッキーかつゆったり歌いこなした１曲。ややアップテンポさを感じますが、バラードの様な安定感も秘めていて、とても魅力的な楽曲と言えます。こちらもおすすめですよ！
おすすめ楽曲⑤
Dance For Me
＜Sisqó＞
こちらの楽曲「Dance For Me」は日本のクラブシーンにおいてヘビーローテーションされていたことを今でも覚えています。ダンスホール調なトラックに変則的なビートが使われ、踊れるR&Bとしてシーンにインパクトを与えた名曲です！
Tyrese
(タイリース)
映画「ワイルドスピード２」以降からローマン・ピアーズ役としてシーンに登場し、シリーズには欠かせないお茶目なキャラクターとして活躍している「Tyrese(タイリース)」。他にも「トランスフォーマー」などにも出演し、俳優業において大成功を収めている彼ですが、R&Bシンガーとしても指折りの実力者なんです。
アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス出身の彼は、世界的に有名な飲料メーカー「コカコーラ」のCMに出演した事をきっかけに、俳優業やモデルなど活躍の場を見つけシーンに登場します。俳優業での成功を収めつつある中、R&Bシンガーとして楽曲をリリースした事に至るのは1998年のこと。
音楽シーンに登場するきっかけとなったデビューアルバム「Tyrese」は、デビューアルバムでいきなりゴールドディスクを獲得するなどシーンに衝撃をあたえる事となりました。お茶目でコミカルな印象が強い「Tyrese」ですが、伸びとハリがある美しい歌声に繊細な言葉選び、流暢なフロウによる完成度の高い歌唱能力が多くのファンを魅了し、今もなお愛され続けています。
多彩な才能を存分に生かし、ノビとハリのある美しいセクシーな歌声でしっかりと歌い上げる「Tyrese」のおすすめ楽曲とおすすめアルバムをそれぞれご紹介いたします！
おすすめのアルバム
2000 Watts
＜Tyrese＞
「Tyrese」のおすすめアルバムはこちら「2000 Watts」。デビューアルバムとどちらにするか非常に迷いましたが、のちに紹介するおすすめ楽曲が多く含まれているのでこちらのアルバムをお勧めします！ゆったりとした曲やバウンス感ある大人のR&Bが楽しめるおすすめアルバムです！
おすすめ楽曲①
Just a Baby Boy (Radio Edit)
＜Tyrese feat, Snoop Dogg, Mr. Tan＞
「Tyrese」の一番おすすめしたい楽曲はこちら！HipHop Soulを彷彿とさせるG-Funkに似た様なトラックに、「Tyrese」のコーラスと「Snoop Dogg & Mr Tan」の癖が強いラップが乗っかり、近代的R&Bの先駆けともいえる楽曲で超おすすめです！
おすすめ楽曲②
Sweet Lady
＜Tyrese＞
ゆったりとした心地の良いメロディーラインにリズミカルで安定したビート、ベットシーンによく合うスウィートR&Bな仕上がりな１曲。トラックがもたらすムードをしっかりキープしながら優しく歌う「Tyrese」のベストナンバー！
おすすめ楽曲③
I Wanna Go There
＜Tyrese＞
大人の雰囲気が存分に表現された極上スウィートチューンな1曲。さっぱりとしつつも、美しくハリのある「Tyrese」の歌声がより引き立つメローなトラックもおすすめポイント。映画の中で見せるおちゃらけたキャラクターからは、全く想像つかないほどのアーティストとしてのギャップを感じさせてくれます。
おすすめ楽曲④
I’m Sorry
＜Tyrese＞
こちらの楽曲も夕暮れ時やナイトシーンにぴったりな仕上がりなのがおすすめ。強くて軽快なビートで曲のベースをリードし、優しくシンプルなメロディーラインで包み込む様なトラックに仕上げ、「Tyrese」が優しく歌い上げる事で極上の１曲と変貌を遂げています。こちらもおすすめです！
おすすめ楽曲⑤
Better To Know
＜Tyrese＞
「Tyrese」の歌声が引き立つ1曲「Better to Know」。ゆったりしたテンポの中でメロディーラインにアップダウンをつける事により、スローでありながらもスラスラ聴けるおすすめナンバー。メロディーラインがどことなく切ないイメージを感じさせ、シックな仕上がりとなっていておすすめです！
Mario Winans
(マリオ・ワイナンス)
透き通る様なシルキーなコーラス、甘く優しいタッチで語りかける様なフロウ、ゴスペルで磨かれた繊細で爽やかな歌声を巧みに操り、「P Diddy」主宰のレーベル「BAD BOY」に所属するR＆Bシンガー「Mario Winans(マリオ・ワイナンス)」。
アメリカ合衆国サウスカロライナ州オレンジバーグにて生を受けた彼は、両親が音楽家である環境下で幼少期を過ごし、小さい頃からドラム、ピアノ、そしてゴスペルを始めとする歌唱の英才教育を受けていました。彼のキャリアは高等学校卒業後、94年頃からダラス・オースティン主宰のDARPに所属し、プロデュース業において才能を開花させました。
プロヂューサー、トラックメーカー、シンガーとしてマルチな才能を発揮する「Mario Winans」のいちばんの魅力はなんと言っても「透き通るようなシルキーなコーラス」。まるで子守唄を歌うかのように優しく語りかけ、角が立たないトラックメイキングは至高の技とも言えます。そんな彼のおすすめ楽曲とおすすめアルバムをそれぞれご紹介いたします。
おすすめのアルバム
Story of My Heart
＜Mario Winans＞
「Mario Winans」のおすすめアルバムはこちら「Story of My Heart」。アルバム全体を通して、ナイトシーンやベットタイムなどによく馴染むメローチューン満載！甘すぎず、うるさくない極上の一枚として皆さんにおすすめしています！
おすすめ楽曲①
I Don’t Wanna Know
＜Mario Winans feat. P. Diddy & Enya＞
ヒップホップのトラックに使われる重厚なバウンスビートに対して、甘く切ないスローなメロディーラインを組んで仕上げられた極上の１曲。客演には東海岸の重鎮「P Diddy」が客演に参加し、ヒップホップ要素も楽しめる「Mario Winans」のおすすめナンバーです！
おすすめ楽曲②
Stay With Me
＜Mario Winans＞
ゆったりとした流れるリズムに、シンプルでかつシックなメロディーラインに対し、まるで包み込むように優しく歌い込んだナンバー。「Mario Winans」が語る優しい歌い口はホント虜になります。こちらもおすすめですよ！
おすすめ楽曲③
Arouse Me
＜Mario Winans＞
Jazzのような雰囲気を感じさせる大人なトラックに、流暢で流れに任せながらしっとり歌う1曲「Arouse Me」。ゆったりとした雰囲気に包まれているこの曲は、ベットシーンや深い夜におすすめ！
おすすめ楽曲④
Never Really Was
＜Mario Winans＞
リズミカルで重厚感あるビートに、アップロールなメロディーラインを取り入れ、力強く歌い上げるベストナンバー。どんな楽曲でも優しく歌い上げている「Mario Winans」の中でも、指折りのハイエンドな仕上がりがおすすめポイント！
おすすめ楽曲⑤
Don’t Know
＜Mario Winans＞
最後にご紹介するのはこの曲「Don’t Know」。甘くゆったりとしたメロディーラインに、安定したリズミカルなビートを用いて、優しくありながらもパワフルに歌い上げているところがオススメポイント。こちらはデイタイム、特に朝日を浴びながら聞くのにおすすめのナンバーです！
【Soul Full R&B×男性編】
おすすめの洋楽R&Bコレクション
「Sexy R&B Beat Collection」
for men’s ver.3のまとめ
いかがでしたか？今回はおすすめしたいアーティストのご紹介第3弾！R&Bの真髄「Soul Full R&B」を手掛ける実力派アーティスト3名「Sisqo,Tyrese,Mario Winans」をそれぞれご紹介いたしました。気に入った楽曲やアーティストは見つかりましたでしょうか？
R&Bの本来あるべき姿はゆったりとした安定感あるビートに、落ち着きのあるメロディーラインが合わさったトラックをベースとして、ゴスペルの様に魂を込めて歌いあげる形が本来のR&Bであり真髄であると私は思います。
「Soul Full R&B」を原点とするアーティストは、私が知る限りでもまだまだたくさんいます。今回の記事を皮切りに、もっとたくさんのアーティストをご紹介できればなと考えております。ちなみに次回も「Soul Full R&B」男性アーティスト編を引き続き特集してみたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました！
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